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 2104年6月8日、東大SPH同窓会は、京大SPH同窓会と共同で、5回目となるサロンを開催しました。東大SPH同窓会が単独で開催していた【同窓会サロン】から通算すると、10回目の開催です。東大・京大・ハーバードといった各大学のSPH同窓生・現役生はもちろん、今回は講師としてまちづくり大学院の方にもご参加いただきました。

■開会のあいさつ

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まず東大SPH同窓会長の酒匂さん、東大SPH専攻長の川上先生より、開会の挨拶がありました。川上先生は、同窓会が他大学とも連携をとって活動している点に触れ、今後SPHがどのような教育をしていくべきなのか、このサロンを一つの参考としていきたいとお話いただきました。

■超高齢社会における高齢者の住まい

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今回のサロンのテーマは「超高齢社会をまちづくりから考える ~その時パブリックヘルスにできることとは~」です。ご講演のトップバッターは東京大学高齢社会総合研究機構特任研究員であり、東京大学まちづくり大学院にご所属の廣瀬雄一さんです。

廣瀬さんは、住居学のバックグラウンドをお持ちで、高齢者向け住宅のプロジェクトに長く携わっていらっしゃいます。ご講演では、高齢者向けの住まいについて、法制度も絡めてご紹介いただきました。また、ご自身が携わったプロジェクトのご経験も踏まえ、住宅の整備だけでなく、コミュニティをどう作っていくかについての具体的なお話も頂きました。

質疑応答では、高齢者の就労や費用負担などへの懸念が挙げられ、高齢者が地域で暮らし続けることに対する課題意識の高さが伺えました。

 

■認知症の課題にチャレンジする

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認知症は年齢に伴って増えるため、高齢化が進む中で増えていくのは避けられません。また、認知症の人が増えることに伴い、鉄道事故、高速道路の逆走、電気・ガス・水道等の不必要な利用なども大きな問題になりつつあり、一見認知症とは何の関係もなさそうな企業や自治体も考えなければならない課題になっています。

従来認知症については、医療者が意見を出してきましたが、従来の捉え方ではなかなか解決策が見つからなくなってきました。この課題への取り組みの主体は、医療者などの専門家なのか、それとも当事者や家族も含めたもっと広い人たちなのか。SPHには保健医療のバックグラウンドを持つ人が多く、専門家目線で考えがちな課題ですが、最後の「認知症の課題は誰の課題なのか」という問いかけに対し、改めて考えさせられた参加者も多いようでした。

 

■医療介護サービスの最適化のためにできること

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最後のご講演は、東大SPH1期生の水木麻衣子さんです。水木さんは多方面でご活躍されていますが、今回は日本医療コーディネーター協会の理事としての活動を中心にお話いただきました。

日本医療コーディネーター協会では、「人がありのままに生きるということはどういうことか」ということにチャレンジしています。年をとれば、健康な状態に戻れない時が必ずやってきますが、そういった時の治療選択・療養選択について、実際の臨床現場で起こったケアチームのミスコミュニケーションを例にお話しくださいました。具体例を用いたお話はとても分かりやすく、参加者は聴き入っていました。治療の基本方針をケアチーム全員が共有するにはどうしたらいいか、コーディネーション機能を維持させるにはどうしたらいいかについて、考えるきっかけとなりました。

 

■ワールドカフェ

3名の方からご講演いただいた後、参加者5~6名でチームを作り、ワールドカフェ形式でグループワークを行いました。テーマは、「超高齢社会の中で、パブリックヘルスにできること」です。

どのチームでも活発な議論が行われ、「高齢者が住みやすい住宅とは?」「費用負担についての考え方は?」という点から議論を始めたチームや、「そもそもパブリックヘルスとは?」「そもそも超高齢社会とは?」という定義から入ったチームなど、様々でした。ただ、最終的には、「意思決定の主体は誰なのか?」という議論になったチームが多かったようです。さらに、患者や本人の場合、意思決定しなければならなくなってから考えるのでは遅く、教育や啓発で人の死に関するヘルスリテラシーを育てることも重要なのではないかとの意見が挙げられました。

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SPH関係者の場合、医療者としての視点で高齢社会をみることが多いかもしれません。しかし、実際にはいろいろな見方があるという、視点を広げるお手伝いができていたら嬉しく思います。今後も魅力あるプログラム作りに努めてまいりますので、皆様のご支援をよろしくお願いいたします。

最後になりましたが、ご講演くださりました廣瀬さん、徳田さん、水木さん、そして参加者の皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。

■参加者アンケート結果

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アンケート結果はこちら


■第5回SPHサロン 概要

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日本が避けて通れない「超高齢社会」。特定の分野だけでは到底向き合うことのできない問題であるからこそ、SPHで学んだ知識を活かす場があるのではないでしょうか。
高齢化というと「医療・介護」と捉えられがちですが、今回は「住まい」や「ビジネス」の側面を含め、専門の方からお話を伺った後、「まちづくり」の視点から、高齢化社会においてパブリックヘルスの貢献を考える機会を提供します。

■名称:「超高齢社会をまちづくりから考える~その時パブリックヘルスにできることとは~」
■日時:2014年6月8日(日) 14:00~17:30 (13:40受付開始)
■会場:東京大学本郷キャンパス 医学図書館3階333室 ※前回までと会場が異なります。ご留意ください※
http://www.u-tokyo.ac.jp/campusmap/cam01_02_01_j.html
■会費:東京大学SPH同窓会会員は無料 (非会員500円)
■告知ポスター第5回SPHサロン

■プログラム:
◇第一部(14:05~16:15) 講演会◇
演者
・水木麻衣子様 (東京大学大学院医学系研究科医療安全管理学特任研究員、一般社団法人日本医療コーディネーター協会理事:東大SPH1期生)
・廣瀬  雄一様 (東京大学高齢社会総合研究機構特任研究員、東京大学まちづくり大学院)
・徳田  雄人様 (株式会社スマートエイジング代表、NPO法人認知症フレンドシップクラブ理事)
◇第二部(16:15~17:30) グループワーク◇
「超高齢社会をまちづくりから考える~その時パブリックヘルスにできることとは~」

 

■懇親会
日時:2014年6月8日(日) 18:00~20:00
会場:こだわりや 赤門前店
http://www.kodawariya.net/access.html
会費:4,000円

■申込

終了致しました。ご参加誠にありがとうございました。

【こちらのフォームよりお願い致します】
※5月30日(金)を目処にお申し込みください

■キャンセルについて

もしご都合が悪くなった場合は、2日前までに下記問い合わせ先のメールアドレスまでお知らせいただけると幸いです。特に、懇親会は、ご連絡がない場合、料金を申し受けることがありますので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

■お問合せ office@220812majorchange.local