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湊夕起さん(マサチューセッツ州立大学・ホリスティックヘルス専攻を経て2  期生2  年コース修了、 世界保健機構勤務)

家族の介護の体験で感じた「人が健康に生きるには? 」という漠然とした疑問が、その後の海外生活で多種多様な文化や生活様式に触れた時、社会生活と健康との関係や、保健医療に関する社会のしくみへの興味につながりました。学部では、『健康』をテーマに学術横断研究を試みましたが、その後、社会への働きかけ方をより具体的に模索するなかで、予防から生活の質にいたるまで、広範に人々の健康にアプローチができる公衆衛生に魅力を感じました。東大SPH では、様々な健康問題の真実をどのように見、科学的な根拠に基づいて判断するか、集団にアドバイスをするために信頼のおけるデータが必要であり、そのためには調査の質が大切となることなどを学びました。世界保健機構(World Health Organization )の ジュネーブ本部に勤務する今、対象となる集団の単位は国、複数の国をまたぐ地域、そして世界全体へと大きくなりましたが、SPH  で得られた視点や考え方は日々の業務の土台になっていると感じています。世界規模で保健プロジェクトを進める現場では、様々な立場のステークホルダーが交わり、目標の共有や合意が難しい場面が多々ありますが、そのような国際的な討議の場で必要となる公正な視点や判断基準は、SPH  での学びによるものが大きいとも感じています。志を共有し尊敬し合うことができる仲間に出会えたことも、東大SPH  で得られた大きな財産です。

(この記事は修了生及び東大SPHより許可を得てSPH紹介パンフレット2015年度版から転載したものです。所属は掲載当時のものです)