200805:第1回PeSeTo会議に参加して

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 韓国・ソウルで4月25~26日に開かれた第1回ペセト会議(PeSeTo conference on Public Health)に、東京大学SPH同窓会副会長として参加してきました。

 ペセト会議とは中国・北京大学(Peking University)、韓国ソウル大学(Seoul National University)、東京大学(the University of Tokyo)の3大学の公衆衛生大学院による国際会議です。名前は各大学の頭文字を組み合わせによります。ちなみに、北京大学の英語名がBeijing UniversityではなくPeking Universityだということを皆さんはご存知でしたか?

 東京大学からは小林廉毅専攻長、川上憲人教授、橋本英樹教授、李廷秀准教授、そして私の5人が参加しました。

 初日は(1)3大学の公衆衛生大学院の紹介(2)各国が抱える公衆衛生の問題(3)健康政策と実践(4)環境衛生、といった4つのセッションからなるシンポジウムでした。セッションごとに各大学から一人ずつ演者が出て、自らの専門領域について話をされました(※プログラムはこちらを参照。jpeg形式)。
 セッション(1)では小林先生が「University of Tokyo System of School of Public Health」、(2)では李先生が「Recent strategies for health promotion in Japan」、(3)では橋本先生が「Medical and long-term care in Japan: Current challenges and debates」、(4)では川上先生が「Research, guidelines, and practice for worker mental health in Japan: Recent trends」という題でスピーチされました。

 会場となったソウル大Hoam Faculty Houseの会議場には約100人が集まりました。演者である先生たちは自らの専門分野の話題を熱心に語り、その内容に触発された討論者も熱心にコメントや質問を寄せるなどして、会場は熱気でムンムンでした。途中、休憩時間を少しずつ短縮しながらも、シンポジウムが終了したのは予定を30分以上過ぎた午後7時近くでした。

 ホスト校のソウル大からは、会場運営の手伝いや聴衆として20~30人の学生が参加していたようですが、中国、日本からの学生参加は私1人だけ。数十年の歴史や組織規模といった点ではソウル大、北京大にはかないませんが、フレッシュな東大SPHのパワーをアピールし、われら同窓会が目指す「幅広い交流と国内外の公共健康医学の発展」を実現させる第一歩になればと、3大学の学生交流を呼びかけようと狙っていました。

 「ペセト会議に参加されるすべての先生方へ」と題した東大SPH同窓会名の英文レター(※内容はこちらを参照。pdf形式)を用意しました。クリーム色の便せんを開くと、東大SPHで同窓会を立ち上げたこと、学生交流をしたいと考えていること、理解と協力をお願いしたいことなどがシンプルに綴られています。ピカピカ輝くエンブレムつき水色の封筒に入っているので、見た目も豪華です。これをソウル大、北京大の先生一人ひとりへ挨拶をしながら手渡していこう、東大から学生がやってきたことをとにかくアピールしよう、と考えていました。

 ところが、朝一番のセッションの中で小林先生が手紙のことを紹介して下さったことから思わぬ展開に。話を聞いたソウル大SPHの李承旭院長が「せっかくだから自分の言葉で交流を呼びかけ、手紙を読み上げてはどうか」と、午後の部の冒頭でショートスピーチの機会をいただけることになったのです。予想外の展開でとても緊張しましたが、つたない韓国語と英語で3大学間の学生交流を呼びかけることができました。

 会場ではソウル大学SPHの学生会長と会うこともできました。名刺を交換してミニ会談もしてきました。既にメールのやりとりをしながら話は進んでいます。具体的にどのように交流をしていくのか、そう遠くないうちに詳しい話し合いの場が持てればという話になっています。

会議2日目は、今後のペセト会議について検討する3大学関係者による円卓会議が開かれました。来年秋は北京で第2回を、再来年の2010年には東大で第3回会議を開くことで合意。ソウル大と東大、北京大との間で覚え書きが取り交わされました。

 ソウル大、北京大ともにペセト会議を通じて3大学SPHの交流を深めていくことに非常に熱心で、将来的には短期交換留学プログラムや単位相互認定プログラムのようなシステムを構築できれば、といった意見も飛び出し、今後の展開が非常に楽しみです。
 東大SPHはまだ歩み出したばかりです。でも、国境を越えた向こうにも仲間がいます。私たち一人ひとりがそれぞれの立場でできることを、まず一歩踏み出してみる。そこから始めてみましょう。さぁ、あなたも一緒にどうですか?

 (第1回ペセト会議の参加報告とソウル大SPHとの学生交流については、6月23日に開催予定の同窓会主催勉強会でもお話をさせていただきます。)

2008年5月23日
By 副会長 M.I.

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